前回のSHUREに続き、今回はSENNHEISERのビンテージマイクについて話します。
僕がなぜ「白クジラ」と呼ばれるSENNHEISER MD421を多くのステージで使うにことになったのか。それはLUNA SEAのコンサートを担当することになったのがきっかけです。
メンバーが使っているマイクを事前リサーチするとSUGIZOさんがMD421を愛用されていました。僕も以前からMD421は音にガッツがあっていいなと思ってたので「白クジラ」を試すいい機会だと思いました。
僕はマイクの状態を管理したいので、SUGIZOさんに使うMD421は他のアーティストと共有したくなかった。それで状態のいいMD421をSUGIZOさん専用として購入しました。さっそく音をチェックするとこれがなかなかいい音!
次にギターキャビネットにMD421と組み合わせるコンデンサーマイクはどうしよう?ということになり、レコーディングを担当しているエンジニアさんやテックの人にリサーチしたところ、JOSEPHSON e22Sを勧められたんです。少々高めだったのですがMD421とJOSEPHSON e22Sの組み合わせにしたら本当にワンランク上がったサウンドを作ることができました。
こんな面白いエピソードもありました。BAROQUEというバンドのギターの圭さんはある日、LUNA SEAのライブを観ていたら会場の音が良いので「いつかこのPAエンジニアと仕事がしたい」と思ってくれてたそうなんです。その後、縁があって僕がBAROQUEを担当するようになりかれこれ2〜3年になります。
それまで圭さんのギターにはSHURE SM57 USAをずっと使ってたんです。ある日圭さんに「SUGIZOさんってギターのマイクは何を使っているんですか?」と聞かれ、「MD421白クジラだよ。」と答えました。「ぜひ試してみたいです!」ということになり、彼のギターにも立ててみました。結果はやはり良好。ギターリフから始まる曲など明らかにお客のノリまで良くなりました。
ただこの話には注意が必要で、やみくもにMD421を立てればいいという訳ではありません。
僕の中で棲み分けがあるんです。MD421はバンドのアンサンブル内でボーカルと同列の位置に音像を置くことができるのでバンド・サウンドが確立できます。
一方、SM57 USAはいい意味でボーカルよりちょっと後ろの位置に下がり良い音を出してくれるマイクです。
両方とも良いマイクなんですがこの特徴を理解しないでMD421を使うと、ボーカルの歌詞が聞こえないといった大変なことこにつながりかねないので、それぞれのマイクのキャラクターとバンドとの相性を考えて使うことが必要です。
SENNHEISERマイク 前編はここまで。次回、後編に続きます。