今回はオールドマイクについて話します。 なぜ僕がオールドマイクにこだわるのか。それはある出会いがきっかけなんです。
その昔弾き語りのアーティストを多く担当してた頃、SHURE Beta57Aを指向性がスーパーカーディオイドでかぶりが少なくハウリングに強かったということでよく使っていました。ある時、Beta57Aの中にアンプを組み込みファンタム電源を送ってプラヨン(+4dBm)で出力させる改造があることを知ったのですが、 最近のマイクよりオールドマイクにそういう改造を施したらどんな音になるんだろう?という好奇心が湧いたんです。そしていろいろ探し、徳島県にある SMITTY RECORD (
https://twitter.com/smittyrecord) にたどり着いたんです。
10年くらい前の話です。SMITTY RECORDさんは、いわゆる”いちげんさん”にはレアな隠れ在庫は売らないんですが、自分の仕事の事情を話して相談したところたくさんの在庫マイクの写真を送ってくれました。
そこで
UnidyneカプセルのSM57とSM58を買ったんですが、現行製品とは全く音が違っていてびっくりしました(現行製品はUnidyne III)。その後1965年製 SM57 USAも買いましたが、値段では測れない魅力を手に入れた感じでそこから一気にオールドマイクの虜になりました。
「今のマイクと何が違うの? 」という話ですが、これは自分の感性の話になります。私は音に「憂い」があると感じます。まず当時と現在では構造/物理的にマグネットが違うことがありますし、年月を経て磁力が減衰しそれが「枯れ」や「味」に関わっているのかもしれません。心に沁みる「この音だ!」という感じがあるんですよ。
その後さまざまなオールドマイクを購入し、次号以降でも紹介しますがSENNHEISER MD421白クジラ、Beyer、GEFELL等々…。いつも自分の武器になるマイクセットを現場に持ち込んでいます。 SMITTY RECORDからはじまり現在ではeBayやセカイモンといったサイトを日々チェックするのが日課になってます(笑)。
オールドマイクを購入するアドバイス
僕もいろんな失敗を経験してきたのですが、その中からアドバイスをします。
まず第一に「安いから買う」というのはやめた方がいいです。安いには安いなりの理由が背後にある場合があります。ある時、やけに安いJosephsonの測定用マイクを買ったら外側だけで中身が入ってなかったということがありました。
それからオークションや中古サイトに掲載されている写真の数が極端に少ないのもダメです。最低でも6枚くらい欲しいですね。例えばロゴがシールで貼られていた時期のものは、もしかしたらオールドを装うために張り替えている可能性もあるので、事前にしっかりチェックしたいです。
最終的には選ぶ眼を養うことが大事なんですが、でも、そこにたどり着くまでにはお金と時間がそこそこかかる訳で…。